2010/11/8 月曜日

睡眠時無呼吸症候群のセミナー

Filed under: 日記 — h.nakano @ 9:24:36

 

 先日(10月31日)、岩手県保険医協会の主催で「睡眠時無呼吸症候群 — 医科・歯科の立場から —」のセミナーが開かれました。 

title2s.jpg 睡眠障害の一種である「睡眠時無呼吸症候群」とは、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気の総称。自覚症状がないため、治療を受けていない人が多いのが現状です。 

 「明らかな原因がないのに疲れやすい」「たくさん寝ているはずなのに眠い。ボーとすることが多い」などの症状を訴え、検査を受けても病名がわからず、うつ病と勘違いされたり、運転中に眠気を催して交通事故を起こしたり・・。「いい眠り」を得られないと、仕事や日常生活に影響があるばかりか、合併症として高血圧や糖尿病を引き起こす場合もあります。 

apneasemi1s.jpg 睡眠時無呼吸症候群で圧倒的に多いのが、空気の通り道であるのどがふさがれて、息ができなくなる「閉塞型」。呼吸が再開するときに、大きないびきをかくのが特徴です。 

 その理由は「のどが狭い」から。眠ると体の力が抜けて舌が後ろに下がりますが、のどが狭いと舌がお餅のようにのどに詰まってしまい、呼吸ができなくなります。「あごが小さい」「扁桃腺が大きい」「歯並びが悪い」など、のどが狭くなる原因はさまざまですが、中年以降太ってきたという人は要注意。日本人はあごが小さいため、少しの肥満でものどが狭くなる傾向があるのです(マシェリ10月28日号「睡眠時無呼吸症候群」記事より一部転載)。 

 セミナーでは、基調講演として、かなざわ内科クリニックの金澤 格先生が睡眠呼吸障害の最新の診断基準や評価機器や治療方法について解説されました。 

 泌尿器科の立場からは、赤坂病院泌尿器科の船木廣英先生が、夜間頻尿は睡眠時無呼吸症候群の治療で改善する場合があることを示されました。 

 歯科の立場からは、私が担当しました。お口に入れるマウスピースによる対症治療が中心で、軽症・中等症の方が対象になること。鼻にマスクを当て気道に空気を送り込む、CPAP(シーパップ)療法に比べて手軽で軽量、安価ではあるが歯やあごの関節が健常であるなどの制限があること。効果はCPAPの半分程度で、有効率は約80パーセントであること。などのお話しをいたしました。 

 また「あごが小さい」「歯並びが悪い」は歯科の加療領域であり、子どもの成長期に歯ごたえのあるものを食べさせ、あごの成長を促す指導を行うことや、上のあごを矯正装置によって広げることが根本治療につながるであろうこともお話いたしました。 

 睡眠時無呼吸症候群を発見し診断基準を定めた、スタンフォード大学のギルミノー教授は、もし睡眠時無呼吸症候群を予防できれば、脳卒中や心臓病を未然に防げる可能性が高まると言っています。 

 今後、睡眠時無呼吸症候群の治療に歯科が貢献できる場はますます広がることでしょう。 

 

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