2009/9/19 土曜日

アジア矯正インプラント学会

Filed under: 矯正歯科 — h.nakano @ 9:41:32

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  9月10、11日の2日間、仙台市で開催された、第8回アジア矯正インプラント学会に参加してきました。参加者は100名ほどの小さな会でしたが、アジアを中心に7か国から25題の発表がありました。歯科矯正治療の中でも先進的なこの分野、実はアジア発の研究と治療方法が世界をリードしているのです。

 歯科のインプラント(人工歯根)のことはご存じだと思いますが、矯正治療に用いられるものの多くはとても小さくて、耳のピアスのピンほどのサイズです。6年ほど前になりますが、私も患者さんの気持ちになってみようと思い当院のK先生に矯正用のインプラントを埋めてもらったことがあります。15分ほどの処置でしたが痛みは全くなくて2週間くらいはゴロゴロした感じ(埋めた所に生米の粒が張り付いている感じで頬の粘膜が触れて気になる)がありました。その内にすっかり慣れてしまい存在すら忘れるほど。これなら大丈夫と思い患者さんに使用しております。

 インプラントを併用した矯正治療は、従来法だけで治療するより治療期間が短くなる、ヘッドギアーを使用しなくても良い、歯を抜いて治療する割合が減る、口元や、歯の傾きや、歯ぐきの出具合などを、より理想的な状態に治療できることです。このようにこの方法には利点が多いのですが、困ったことが一つあります。特に小さいピン型のインプラントを用いた場合5人に一人くらい自然に抜けてしまうことがあることです。抜ける原因とその対策について仙台の学会でも色々な面から検討した報告がなされました。現在の所、全ての方で成功というのは難しそうですが、患者さんに大きな恩恵を与える治療法だけに今後の研究成果が期待されます。

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2009/8/31 月曜日

指しゃぶりやおしゃぶりしていませんか

Filed under: 矯正歯科 — h.nakano @ 9:17:14

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 子どものなかには、お気に入りのぬいぐるみがないと眠れなかったり、いつまでも決まった毛布の端切れを握っていなければ気がすまない子がいます。それが、その子の精神安定剤になっているのでしょう。指しゃぶりも、そういう癖のひとつです。指しゃぶりは、子どもにとっては一種の精神安定行為で、いちがいに悪いと決めつけることはできません。しかしいつまでも指しゃぶりをしているようだと、歯並びにも大きな影響が出てきます。

 指しゃぶりで多いのは、親指の腹を上あごに押しつけて吸う癖です。下あごの骨は手足の骨と同じように、硬いしっかりとした骨でできています。ところが上あごは、比較的軟らかい骨でできています。そして上あごは、下あごに引っ張られる形で成長します。そういう軟らかい骨でできている上あごに、指を押しつけて強く吸うわけですから、上あごはだんだん変形してきます。本来はU字型に発達するはずなのに、指に引っ張られてV字型にとんがったり、上の前歯が前に出てくることがあります。そして下あごは後ろに押しつけられます。そこで出っ歯や開咬の原因になるのです。

 それではいつ頃までにこの癖をやめさせたらいいのでしょうか。

 最近アメリカで指しゃぶりやおしゃぶりとあごの形の関係ついて大がかりで長期的な調査が行われました。その結果は、二歳以降も指しゃぶりやおしゃぶりを続けていた子どもに大きな影響が見られたというものでした。特におしゃぶりの継続的使用は指しゃぶりよりもあごの形やかみ合わせにさらに大きな影響があったというものでした。これまでのアメリカの歯科医師会の見解では、四、五歳までの指しゃぶりやおしゃぶりはかみ合わせやあごの形に影響しないというものでしたから、この調査結果は学会にも衝撃を与えました。

 日本でも若いおかあさん方が精神安定や鼻呼吸を促すためにお子さんにカラフルでファッショナブルなおしゃぶりをさせているのを見かけることが多くなりました。これもいちがいに悪いとはいえませんが、かみ合わせやあごの形に悪い影響を与えないためには、指しゃぶりとともに二歳までには卒業させたいものです。

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2009/6/27 土曜日

東北矯正歯科学会大会に参加してきました

Filed under: 矯正歯科 — h.nakano @ 9:37:09

 先週の土・日(20・21日)福島の郡山市で開催された東北矯正歯科学会大会に参加してきました。東北6県と3大学(岩手医科大学、東北大学、奥羽大学)の矯正歯科に関わっている方たちの年1回の学術集会です。参加者は130名くらいでした。当院からは、私と久保先生が参加しました。基調テーマは「境界を越えて」。矯正歯科以外の講師のシンポジウムも開催され、駒沢女子大学教授の富田隆氏は「機能と認知をめぐる心理学的諸問題」の講演の中で、網膜や視神経や脳には全く異常が無く、角膜の濁りだけで視覚障害が生じている幼児の角膜を2歳以降に人工角膜に交換しても、網膜には正しい情報が伝えられているはずなのに、視覚障害は生涯解消されない。正常機能の獲得には時期がある。というお話をされました。

 最近のわが国では、噛めない・噛まない・歯ごたえのある物を嫌いな子供たちが増えており、そのことにより十分にアゴが発達せずに噛み合わせの悪い子供たちが増加したとする説があります。昭和30年頃までは「歯固め」といって離乳期に野菜のスティックのようなものを噛ませる習慣があり、離乳食も特別なものではなく、大人の食事の中から食べやすそうな物を与えたものだそうです。噛めない・噛まない子供たちの増加、ひいては華奢なアゴや不正咬合を持つ子供の増加は、(正常機能の獲得時期に)軟らか過ぎる離乳食を与えることにも原因があるのかも知れないですね。N.H.

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